今年は暖冬と言われていますが、冷える日も増えてきました。のどの痛み、頭痛、鼻水などのかぜ症状でお悩みの方も多いと思います。漢方薬はこのようなかぜの初期症状に有効です。咳やのどの痛みには麻黄湯(まおうとう)、頭痛には葛根湯(かっこんとう)、頭痛で胃腸の弱い方には香蘇散(こうそさん)、くしゃみや鼻水には小青竜湯(しょうせいりゅうとう)が代表的な治療薬です。冷え症の方には、咳やのどの痛みに麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)、頭痛には真武湯(しんぶとう)が、冷えの解消にもなりお勧めです。眠気などの副作用も少なく、扱いやすいので、一度お試し下さい。
月経前症候群とは、月経が始まる1~2週間ぐらい前から起こる、イライラ、腹痛、眠気、頭痛などのさまざまな不快症状のことです。排卵後の女性ホルモンの変化が関係していると考えられており、多くの女性が悩んでいます。このような症状に漢方薬が効果的です。代表的なものには、ほてりやイライラに加味逍遥散(かみしょうようさん)、のぼせや頭痛に桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、冷え、腹痛やむくみに当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、肩凝りや便秘に桃核承気湯(とうかくじょうきとう)などがあります。生理前の体調の異常にお悩みの方は、ぜひ一度、漢方薬をお試し下さい。
むし暑い日々が続きます。暑さにより自律神経の働きが悪くなり、だるさ、食欲不振、下痢、めまいなどの症状が生じます。西洋医学では、涼しいところで休養し、体調を整えることが主になります。東洋医学では、暑気あたりや夏ばての際に使用する漢方薬があります。だるさや倦怠感が強い場合は補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、さらに熱感が強い場合や下痢を伴う場合は清暑益気湯(せいしょえっきとう)、のどのかわきやめまいが強い場合は五苓散(ごれいさん)などの処方です。漢方薬を使って猛暑の夏を乗り越えて下さい。
夏至に向かって太陽からの紫外線がもっとも強く、肌にとっては過酷な季節になってきました。
紫外線はしみの原因となり、そばかすを目立たせます。
漢方では、しみ・そばかすのような肌の異常を「瘀血(おけつ)」によると考えています。
便秘を伴う場合は「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」、
赤ら顔に「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」、
更年期症状が強いときは「加味逍遥散(かみしょうようさん)」、
冷えを伴う場合には「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」が用いられます。
また、美肌効果のあるといわれる薏苡仁(よくいにん・ハトムギ)を併用すると効果が増します。
今年はインフルエンザが大流行しています。
抗インフルエンザ薬だけでは、症状の改善が十分でない方や副作用のため使いにくい方には漢方薬をおすすめします。漢方薬の麻黄湯(まおうとう)が広く用いられていますが、麻黄湯(まおうとう)にはインフルエンザウイルスの増殖を抑制する効果があり、発熱の日数を短くします。タミフル等インフルエンザ治療薬と併用しても良いことが知られています。また、体温が上がっているのに寒気だけを感じる人には麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)、咽の痛みや繰り返し起こる寒気と熱感のある人には桂麻各半湯(けいまかくはんとう:桂枝湯(けいしとう)+麻黄湯)などを用います。高齢者では動悸や排尿障害の副作用があるので、注意が必要です。